飯能の木をつかう(長谷川さんご一家)
飯能が好きで飯能に住むのだから、飯能の木をつかう
家を建てようと思ったきっかけは「子どもが生まれたこと」と「飯能に住もうと思ったこと」です。
それまで暮らした土地の中でも飯能はよいところ。「飯能が好きで飯能に住むのだから、飯能の木をつかう」が家づくりのコンセプトとなったのは自然の流れでした。
家づくりに関わる全員の顔が見えた
家づくりについて勉強しているときに友人から西川・森の市場(以下、森の市場)を紹介され、「井上さんの山の木で家をつくりませんか 伐採見学(即売会)とマイ箸づくり」に参加しました。このイベントが、私の家づくりを手がけてくれることになる設計・監理のコウ設計工房の大沢さんと、施工の吉澤建設工業の吉澤さんとの出会いです。また、この即売会で吉澤建設工業が購入した木が、今、我が家の梁になっています。
この時点ではまだ、森の市場で家を建てることは決めていませんでしたが、今になって思えば、イベントは、雰囲気を感じたり、話を聞くことができるよい機会になりました。また、森の市場を通して家づくりをしたことで、自分の家づくりに関わる全ての人の顔を見ることができたことは、家への愛着につながったと思っています。
本当にこの人で大丈夫?
家を建てる土地を探している間、出会った人たちに無垢材の話を聞くと、「くるう・あばれる・ねじれる・ひびわれる」といった欠点があり、扱いが難しいと言われました。2×4や集成材で建てた方がクレームも少なくていいよと勧められましたが、何かが違う…、これでいいのかなと思っていました。
そんなときに、コウ設計工房へ相談に行きました。無垢材について良い話を聞かないことについて大沢さんからは「そういうもの」との答え。「それは木が呼吸している証拠。メリットと感じるか、デメリットと感じるかの違い。それが木の味と考えられるなら、無垢材の家を建てたらいいと思いますよ」と。
私には、この言葉がとても腑に落ちたのです。また、「コウ設計工房の大沢さんは、とても話やすく何でも相談しやすい」という友人の言葉も後押しになり、森の市場を通して設計をコウ設計工房にお願いすることにしました。
工務店の施工技術、心意気
家の施工を行う工務店については、この人で本当に大丈夫だろうか?というのが本音でした。素人には、施工の良いも悪いも全くわからないですし、無垢材は「くるう・あばれる・ねじれる・ひびわれる」という話を聞いてしまうと、施工は大変なんじゃないかと…。
大沢さんにこの疑問を直球でぶつけてみたところ「吉澤さんは西川材の扱いにも慣れているので、大丈夫」というお墨付きをいただきました。設計事務所の仕事は設計だけかと思っていましたが、見積の正当性や施工のチェックなどの監理もあり、素人ではわからないところをカバーしていただいたので安心できました。
設計士は、建て主の代理人なんですね。だから、大沢さんの一言は吉澤さんの腕を信用する一つの材料になりました。その後、吉澤さんから施工した家を案内していただき、西川材で建築した家のすばらしさ、施主さんとの良好な関係が続いていることを実感しました。施工をお願いして建った家を眺めていると、吉澤さんの心意気を感じることができ、とても満足しています。
納得のいく家づくり
まだ竣工して間もないのですが、ずっと住んでいたような感じです。賃貸住まいの時は、落ち着かないことがありましたが、今の家はとても居心地がいいのです。
これは、設計のときに「薪ストーブを使いたいから、空気の循環がしたい」「子どもをみながら台所作業がしたい」「人と人との風通しがよい、声が届くようにしたい」など、具体的に「こういう生活がしたい」ということを伝え、妥協せず納得のいく家づくりをすることができたからだと思っています。
木の家づくりを検討している方々は、実際に木の家に住んでいるところを見るのが一番だと思います。住んでいる人の声を聞かせてもらうのはとても参考になります。ぜひ我が家へ遊びに来てください。
聞き手・文:永井里沙(事務局)/写真:平林久美子